澄明庵の日本みつばち

澄明庵で飼っている日本みつばちの様子を紹介します。今年は群れが大きいので巣の形成が早く、9月9日に採蜜しました。5月4日の捕獲から採蜜までを掲載します。

4月30日 新規分蜂群を捕獲するために巣箱を設置しました。3段の巣箱で、わきにはキンリョウヘン(蘭)が誘引のために置かれています。
5月4日 巣箱の後ろに生えている大きなモミジの根元に分蜂群がやってきました。蜂球群はやや小さめに見えます。
どんどん集まってきました。蜂球が落ち着いたところで、昆虫ネットの中に上から削ぎ落とし、素早く巣箱の中に収めました。新しい巣を気に入ってくれるか否かは蜂君たち次第です。落ち着くのを待ちます。
新しい巣の中でいろいろ探索しているようです。外の様子も気になるようで、飛び回ったり、巣門付近を探索しています。

手前に見える葉がキンリョウヘンです。少し落ち着いてきたようです。
6月になりました。ほぼ1ヶ月が経ちました。定住してくれたようです。
7月です。かなり活発に活動しています。6月から7月までの1月の間に巣箱を1段増やしました。巣門の壁にはたくさんの蜂たちが張り付いています。いろいろ理由があるのですが、気温が高く巣の内部が暑くなったり、外敵が近づいてきたり、卵から成虫になった若い蜂たちの飛行訓練のために出てくることもあります。
巣門に頭を上にして張り付いているのは巣の内部に羽で風を送るためです。
風を送り扇風機の仕事をする蜂たちもいれば、盛んに飛び出し蜜や花粉を集めてくる蜂たちもいます。勿論女王蜂は盛んに卵を産み、群れを大きくしていきます。
日本みつばちはとても穏やかで、特別乱暴な扱いをしないかぎり刺すことはありません。そっと指を巣門の床に滑り込ませると、すぐに敵ではないことが蜂たちに伝わり、穏やかに接してくれます。指の上に上ってきて遊んだりします。このようなときはとてもかわいいと思ってしまいます。
巣門の下に黄色い塊が見えます。これば蜂が運んできた花粉のひとつが落ちたものです。花粉を盛んに運ぶようになると育児がとても盛んになったということを意味します。
花粉だけではなく蜜もしっかりと集めています。
画面の両端に花粉を運んできた蜂の姿があります。足に2つの花粉の塊を付けています。蜂にとっては重いはずですが、どんどん運んできます。蜂の食料になります。
下の1匹は花粉を運んできたようです。
次から次と花粉を運んできます。今年の群れはかなり大きくなりそうです。
蜂たちの活動もかなり自然な形になりました。7月上旬に二つ目の継ぎ箱をし、8月上旬にさらに一段継ぎ箱をしましたので、8月末の段階で全体で6段の大きな巣箱になりました。
8月末の巣箱の様子です。西日が当たるのを避けるために簾を設置しました。蜂の巣は蝋でできていますので、内部が60度以上になってしまうと巣落ちしてしまいます。その対策のひとつです。日本ミツバチは環境が悪くなるとすぐに逃去してしまうので、いろいろと神経を使います。
巣の内部を定期的に点検しています。蜂たちに健康で働いてもらうために、スムシの対策をしたり、アカリンダニ対策をしたりと大変です。
スマホカメラで見る限り健康状態は良好なようです。全体で6段の巣箱のうち5段目の中棒(巣が落ちないように十字に配した丸棒)付近まで巣が近づいています。9月上旬です。継ぎ箱をしないと蜂たちの空間がなくなります。でもこの夏は7月からずっと梅雨が続いているような感じで、雨や霧ばかりで蜂も人間もうんざりしています。晴れたら採蜜し、継ぎ箱をしないといけない。
9月9日 ようやく晴れ間が出てきました。そのようなわけで、採蜜をし、一段継ぎ箱をしようと思います。一番上のふたがついている箱を一段切り取りました。その箱がこの画像です。落下防止の十字の丸棒を抜き取り、周りを切り離すとそのまま8列の巣が取れました。たっぷりと蜜が入っています。蜂君たちには感謝。
すでに蜜がクリアーボックスにたれています。これから一列ずつ小さく砕いて、蜜を絞ります。どのぐらいとれるか楽しみです。
ケーキ用のナイフ(?)を使って小さく切り分け、目の細かいネットに投入して手で絞ります。巷では専用の圧搾機が販売されているようですが、日本みつばちは年に1~2度しか採蜜できませんので、手絞りが良いと思っています。
蜂たちは集めた蜜を風を送って濃縮し、78度以上の濃度になると蓋をして備蓄しておきます。人間はこのおいしくなった蜜を戴いているわけです。画像のとろりとした部分は蓋を削り取ってみた様子です。おいしそうな蜜がたっぷり入っているのがわかります。
切り離した巣の蜜を取る仕事に移るまでに、巣箱をもとに戻さなければなりません。いちばん上の箱にスノコ板を戻し、その隙間にアカリンダニ対策用のメンソールを置きます。板をビスで固定して外蓋をかぶせて終了。この後、下に一段継ぎ箱をして全体を固定すれば終了です。
最終的に瓶に詰めた蜜です。一ビン分の蜜を使って蜜酒(ミード)を作ろうと思います。他に栗も写っていますが、今年の澄明庵の栗です。今年は大豊作で一日でこれだけ拾いました。(栗はとるのではなく、拾うものです)
ゴーヤも最後の収穫です。秋の実りを収穫した一日でした。
さて、蜜はどの位採れたのでしょうか。約5キロありました。画像の後ろに見える金網の笊の中身は蜜を絞った残りの絞り滓です。これは捨てません。これを鍋に入れて水で煮ると、蜜蝋を含んだ煮汁と不純物に分かれます。この液体を濾して冷ますと蜜蝋と液体に分離します。
これが先ほどの絞り滓です。たれ蜜を集めてから蜜蝋を作ります。
金属の網目のカゴに濾過用の袋を被せその中に煮出した液を注ぎます。蜜蝋を含んだ液体と不純物だけの絞り滓に分離できました。
その液体がこちらです。このまま放置すると上の方に蜜蝋が集まって固まり、下には水分が残ります。固まったら蜜蝋だけ取出し、さらに精製して来年以降の捕獲用に使ったり、蜜蝋ワックスを作ります。残った液体は来年3月~6月ごろにスズメバチの女王蜂を捕縛するためのトラップ用の誘引剤にします。日本みつばちたちの仕事は立派ですね。すべて役に立ち、捨てるものがありません。
さらに精製して最終的に出来上がったものがこの蜜蝋の塊です。シリコンの型枠で固めるときれいに整形できます。

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