(2)2015年制作の写本を掲載します。相変わらず、チョーサーの『カンタベリー物語』ですが、今回は「女子修道院長の話」です。短い話ですが、ユダヤ人がキリスト教徒の少年を殺害するという話です。構成は 1 スタンザが A B A B B C C 型の脚韻を踏む、いわゆるチョーサー的スタンザを構成しています。

縦 19 cm x 横 14 cm で 9 葉 (leaf) 、18 ページの小さな写本です。「女子修道院長の話」だけを取り上げて制作しました。2015 年の作品です。
内部ページの様子です。
チョーサーの肖像画です。
拡大した肖像画です。
最初の2ページはやはり「総序」の導入部です。ページサイズのわりに装飾の金箔が勝ちすぎている感じもします。彩色に使われている顔料の種類に注意してみてください。
テクストのみのページです。キャピタル文字には金泥(きんでい)が使われています。テクストの部分と周囲の余白の割合はモリスの法則に従っています。
ここから「女子修道院長の話」が始まります。スタンザ形式で a b a b b c c の 脚韻を構成しています。
右側のページに見える黄色いシミ様のものは次ページの装飾下地になっているジェッソに含まれる膠(にかわ)が滲み出たものです。
この装飾には「和」のモチーフを使っています。
左ページのキャッチワードが右ページ冒頭の語と一致していますね。
金箔のある装飾がページにあると美的インパクトが違いますね。
右ページのシミが、実は下の画像の左ページのものであることがわかります。
Ars longa, Vita brevis です。


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