ウィリアム・モリスの世界

          The Works of Geoffrey Chaucer Now Newly Imprinted

モリスが最晩年に設立したケルムスコット・プレスから出版された『チョーサー作品集』のタイトルページと「カンタベリー物語」の冒頭部。

モリスの法則とは?

ページレイアウトを印刷部とマージンとの絶妙な比率バランスを考えて配分する考え方です。そもそも中世の装飾写本においてはすでにこのようなバランスのとれたページレイアウトは実践されており、モリスは単にこの考え方に気づいて踏襲し、自らの美的感覚に基づいて実践したにすぎません。以下の写本サンプルがそのようなページレイアウトです。

「モリスの法則」に従ったページ・レイアウトの例。テクスト部が見開きページの中心に寄っており、上下左右にゆったりとしたマージンが取られています。ページレイアウトに美的計算が働いていることが分かります。以下に簡単にマージンを算出する方法を示します。
では、どのようにしてマージンを算出したのでしょうか。まず見開きのページを横断する対角線①②を引きます。次に右、左のページに対角線③④を引きます。最後にどの程度マージンを取るかを考えて、①と③,②と④の交点とページ中心線の下の点を結ぶ線⑤⑥を引きます。これらの線に基づいて、例えば左のページに文字スペース(赤の囲い線の部分)を確定する場合は、対角線上の任意の2点を水平あるいは垂直に結べば「モリスの法則」を満たすマージンが自動的に出来上がります。

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