澄明庵だより(2)

 澄明庵文庫

『方丈記』の作者 鴨長明の名前から音を借り、静かで透き通るような明るさに包まれた庵という意味を込めて「澄明庵」という名前をつけました。独り山奥に庵を結んで生きるだけであれば、単なる世捨て人、隠者の生き方に過ぎません。しかし、現代社会においては、たとえ隠者と言えども社会とのかかわりを完全に絶って生きることは不可能です。関わりを持つ以上、何らかのポジティブな関わり方を維持したいと考えています。その意味で、今後自分にできることは現代日本社会が進んでいると思われる方向とは真逆で無視され始めていると思われるテーマについて何らかの発信をすることだと思うのです。今日の日本社会は19世紀ヴィクトリア朝のイギリス社会にきわめて似ているように感じられます。貧富の差が拡大し、貧しい人たちは限りなく貧しく、富める者は想像を絶するほどの富を享受しています。中世社会と人々の暮らしという視点から、このような社会状況に警鐘を鳴らした人物がいました。イギリスではウィリアム・モリス、日本では柳 宗悦です。これらの人たちに関して、今後少しずつ発信してゆきたいと思います。

澄明庵だより(1)

澄明庵はその名の通り、自然と静寂の中に佇む庵です。中世装飾写本に対する庵主の想いが高じて、すべて中世の時代に使われていた材料、道具を用いて写本の制作を行っています。晴れた日は自然と戯れ、雨の日は庵に籠って静かに本を読んで過ごす。夜は気が向けば写本の制作をしたり、ウィスキーを飲みながら音楽を聴くという隠者のような日常を過ごしています。・・・というような生活を夢見ています。
初春の澄明庵

2020年初夏の澄明庵

「2020年澄明庵の春」は こちら